ぼくたちは、誰のために咲くのか?

アイドルを語る。写真を載せる。人生を見つめる。有澤哲治による言葉の結晶が、今、ここに。

寒いスキー場で起きた、心温まる出来事。

「大丈夫ですか!」

スノーボードを乗りこなす男性の若々しい声が、僕の心を温めた。

 

9日から10日の二日間、僕は友だちと一緒に長野県のスキー場へ出かけた。

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およそ7年ぶり、人生で二度目のスキーである。

楽しかった記憶がよみがえり、ストックを握る手の力が強くなる。 

 

初日は、初級者コースで滑ることに決めた。

ちょっとだけ硬さを感じさせる雪は、「気持よく滑りたい」という僕の願いを叶えてくれた。セーラー服やガチャピン、サンタクロースなどのコスプレに身を包んだ人たちを追うようにして、レンタル服を着こなす自分が前に進む。

「明日は中級コースもいける」。そう確信したのであった。

 

ところが、いざ中級コースに降り立つと、急な斜面に足がすくむ。

「雪に支配されるな、雪を支配しろ。」

自己暗示とともに斜面を下り始めた。その瞬間。

 

「うおっ!」

 

夜中の積雪でふかふかに降り積もった雪に足をとられ、そのまま転倒した。

振り返ってみると、足をとられた場所にスキー板が二枚とも捕まっている。

僕は、歩きにくいスキー靴で、一歩、また一歩と、丁寧に歩き始めた。

 

スキー板を一枚取ったとき、僕の方に向かって滑ってくるスノーボーダーが見えた。

「大丈夫ですか!」

若々しい男性は、そう言って僕の目の前で止まった。

「大丈夫です!」と答える間もなく、その男性はスキー板を取ってくれた。

 

「ありがとうございます! しかし、止めてしまって申し訳ありませんでした。」

僕の口から出た言葉には、二つの感情が表れていた。

「いえいえ! では!」

男性はそう言って、すぐに立ち上がり、急な斜面を華麗に滑っていった。

 

マイナス12度という極寒の中でも、僕の心は芯から温まった。

人と人は、今日も支えあって生きている。